【地域別】トルコの結婚式の伝統やしきたりは?結婚にまつわる風習を紹介
どうも、響です。
トルコにはさまざまな文化がありますが、その中でも特に重んじられているのが“結婚式の伝統”など、結婚にまつわる風習やしきたりです。
そこで今回は、トルコのさまざまな地域における結婚にまつわる風習についてご紹介したいと思います。
トルコの一般的な結婚式
一般的なトルコの結婚式では、新郎・新婦が出身である地域の民謡や踊りが披露されます。
また、新郎・新婦が歌の伴奏に合わせて踊ったりすることもあります。
ケーキ入刀後は、ゲストが新郎・新婦にご祝儀を渡し、その後も様々なエンターテインメントを楽しみます。
婚姻届は結婚式の時に記入する
日本では婚姻届といえば、新郎・新婦の二人で記入し、お互い1名ずつ親族や友人などから証人のサインをもらって、自治体の役所に提出するのが一般的ですね。
しかし、トルコでは結婚式の時に、ゲストみんなの前で婚姻届を記入します。
市の役人の前で、宣誓と婚姻届へのサインを行うことで「家族手帳」が交付され、婚姻届が受理されるのです。
食事・披露宴の有無は式によって異なる
トルコでは結婚式の後、披露宴を挙げるかどうかは人によって異なります。そのまま結婚式場で披露宴を挙げる人もいれば、地方によっては公園などで挙げる人もいます。
食事があるかないかも、結婚式によってさまざま。
ケーキとクッキー、ソフトドリンクなどが提供されるのがもっとも一般的なパターンですが、料理の代わりにお菓子などが提供されるパターンもあります。
ご祝儀を渡すセレモニーがある
また、トルコの結婚式では、新郎・新婦にご祝儀を渡すセレモニーがあります。
ゲストが新郎・新婦の前に並んで、次々にお祝いとして金貨を服に貼り付けていきます。
金貨だけでなく、現金を渡すことも可能ですよ。
その後は、2〜3時間ほど踊ったりして、楽しい時間を過ごします。
トルコではドレスコードも自由な場合が多いので、好きな服を着て参列することができます。
結婚の風習は宗教や地域によっても異なる
また、イスラム教徒の場合は結婚式の前に、アラビア語で指導者を指す「イマーム」によって執り行われる結婚式も行う人もいます。
そのほかにもトルコの結婚式は、県ごと、そして時には村ごとなど、地域によってさまざま。
例えば、トルコでも結婚式は通常、都市の式場などで挙げることが多いですが、村の場合は、庭や公園など屋外で挙げることが多いです。
また、黒海や東アナトリア、エーゲ海地方や南アナトリア、ルメリア地方など地域によっても、結婚の準備や挙式方法などが異なります。
【地域別】トルコの結婚式の伝統やしきたりを紹介
トルコは多文化の国ですから、地域によって結婚式の様式や伝統もさまざま。
そこでここからは、地域別にトルコの結婚式の伝統について簡単に紹介していきます。
西地中海地方
西地中海地方で行われる結婚式は、まさに一般的なトルコの結婚式といえます。
このため他の地域と比べると、地方の大きな特色というものは特にないといってよいでしょう。
東地中海地方
東地中海地方での結婚式の伝統はユニークですが、その一方で財政的に厳しいともよくいわれています。
アダナ県では結婚式の前に「結婚式がありますよ」と知らせるために、新郎の家に大きな旗が掛けられます。
旗の代わりに、窓にオレンジや玉ねぎをぶら下げる場合もありますよ。
また、新郎の家の前から、新婦の家の前まで民俗舞踊の「ハライ」を踊ったり、結婚式では新郎に金貨が入っているデザートを渡し、その金貨を見つけてもらったりする習慣があります。
東アナトリア地方
東アナトリアトルコの中でも特にしきたりを重んじ、豊かな伝統を持つ地域の1つです。
この地域では主に、以下のような伝統が見られます。
① 新郎は結婚するとき、友人に耳を引っ張られる。
② 新郎は友人に食事を奢る。
③新婦は結婚してから1週間が経つと髪を切る
⑤ 新婦が新郎の家に入ったら、お金とナッツを新婦の頭上にまいて祝福する
南東アナトリア地方
南東アナトリア地方もまた、トルコで伝統に富んだ地域の一つです。
例えば、シャンルウルファ県では、結婚式の最後に、新婦のドレスに金貨がたくさん貼り付けられます。
当日、金のコインを貼り付けない人は、結婚当日から次の3週間の金曜日までに、新郎・新婦にプレゼントを贈るのが普通です。
また、南東アナトリア理法で最も興味深い伝統を抱えているのが、ムシュ県。
ムシュ県の結婚式は、水曜日に行われることが多いです。
なんと、ムシュ県では新婦が式後に初めて新郎の実家を訪ねるとき、ガラスや水差し、お皿を壊す習慣があります。
これには「新郎の家にあるすべてのもの(家具など)は花嫁のものにする」という意味があるのだとか。
また、マラティヤ県では多くの地域と同様に、式の前にトルコの旗が新郎の家に掛けられます。
中央アナトリア地方
中央アナトリアもまた、昔の伝統が今もなお続いている地域の一つです。
例えばコンヤ県では結婚式の後、新婦が新しく夫と暮らす家に行く途中で、墓地を通る習慣があります。
これには「結婚を経験したということは、死のことも忘れるな」という意味があるそうです。
エーゲ海地方
エーゲ海地方の結婚式は、比較的長いのが特徴で、両家の金銭事情にもよりますが、結婚式は少なくとも3日3泊続くのが普通です。
この地方はあたたかくカラッとした気候のため、一般的に公園などの屋外で開催されます。
また、基本的にトルコでは男性が「娘さんを下さい」と挨拶に来た場合、トルココーヒーが振る舞われますが、アフィヨンカラヒサール県ではお水を提供するのが一般的です。
更に、チャナッカレ県では、新郎側の親戚や友達は、伝統的な楽器の「ズルナとダウル」を演奏して、盛り上がります。
加えて、新郎が迎えにくる時、新婦は家の中のどこかに隠れるという面白い習慣も。
新郎が新婦を見つけるまでそのかくれんぼは続き、もし花嫁がいない部屋に入ってしまったら、その部屋にいる人にお金を払うという、まるでゲームのような風習です。
そのほか、マニサ県では花嫁が馬に乗って街中を廻る、トカット県では、花嫁はハマム(トルコ式公衆浴場)に連れて行かれ、新郎からさまざまなプレゼントを受け取るなど、地域によってさまざまな文化が存在します。
最後にイズミル県では、多くの都市と同様に、新郎の家にトルコの旗が掛けられるほか、新郎・新婦のかくれんぼの習慣も残っているようです。
トラキア地方
エディルネ県では、男性が「娘さんをください」と挨拶に行くことが許されるのは、月曜日と木曜日だけ。
その際に、砂糖入りのトルココーヒーが出されると女性側も、「本当にその男性と結婚したい、恋している」という意味に、そして残念ながら無糖のトルココーヒーが出された場合は、「結婚することは快く思っていない」という意味になります。
またクルクラーレリ県では、トレイに空缶を載せて、その中にお金と水を入れるという文化もあります。
その缶の周りで友人たちと共に踊ったりした後、花嫁がそのトレイを蹴って、床にこぼれたお金を子供たちが拾い集めます。
東黒海地方
黒海地域では、なかなか結婚の許可がおりないことがあります。
花嫁となる女性の父親にも「簡単に娘を渡したくない」という想いがあるんですね。
結婚式当日は、新婦の顔を綿布のようなもので覆い、迎えにきた新郎はその頭上に小麦をまきます。
また、結婚式の後、新婦が家に入るときは、右手の指でドアに蜂蜜をつけるという習慣があります。
これは「新郎新婦がともに仲良く暮らせますように」という願いをこめて行われる習慣です。
西黒海地方
西黒海地方では、新郎側が馬や車で花嫁となる女性を迎えに行きます。
また、一部の地域ではレスリング大会が開催されることもあります。
マルマラ地方
マルマラ地方では、新郎が新婦側の家に挨拶に行くとき、小麦・黒クミン・砂糖などを混ぜてつくった塊を結婚指輪にリボンで結び付けて、その家の年長者に渡します。
花嫁の家に挨拶に行く時は、シミット(トルコ風ベーゲル)とチョコレートを大きな布で縛って持っていくのがしきたりです。
結婚式当日は、ズルナとダウルを演奏する人々と一緒に、新郎側は花嫁の家にお迎えにあがります。
そして結婚後、花嫁が夫と暮らす家に初めて入るときは、親戚が米、砂糖、お金を投げてお祝いします。
これは、家がますます豊かに繁栄することを祈って行われる習慣です。
そのほか結婚にまつわるトルコの風習を紹介
トルコでは結婚式だけでなく、婚約した日のお祝いや、結婚相手の探し方などにも伝統的な習慣があります。
婚約した日に行われる「ヘナナイト(クナゲジェスィ)」
世界中で知られているトルコの結婚文化としては、男性と女性が婚約した日に行う「ヘナナイト(クナゲジェスィ)があります。
これは、花嫁側の親戚の女性が花嫁の家に集まって、歌ったり、踊ったり、花嫁の手にヘナ(ミソハギ科の植物)を塗ったりするイベントです。
現在は新婦側だけでなく、新郎側の親戚や友人もこのイベントに参加することが可能。
両家から親戚や友達の女性が集まって、男性側の家に花嫁を送り出す、という気持ちでお祝いします。
この「ヘナナイト(クナゲジェスィ)は、トルコではなくてはならない結婚文化の一つです。
アナトリア地方の結婚相手の探し方
アナトリア地方の一部の町では、結婚相手の探し方も特徴的です。
アナトリア地方では男性が適齢期を迎えると、その母親が女友達を2人連れて、いっしょに息子の結婚相手を探します。
息子の知り合いである女性の家をまわって、3人でよく相手を観察。
もし気に入った女性が見つかったら、その家族に「ぜひあなたのところの娘さんに、私の息子と結婚して欲しい」と伝えます。
無事ご家族の同意が得られたら、新郎となる男性は「娘さんをください」と言いに、両親とともに改めて女性側のお宅を訪問。
晴れて結婚が認められたら、その日の夜はお祝いに雄鶏をしめ、その出汁で作ったピラフ(トルコ風炒めご飯)を、親戚一同で囲んで食べます。
これは特に東アナトリア地方に根強く、現在も残っている風習です。
まとめ
トルコは地域によって、文化や伝統、結婚に対する考え方もそれぞれ。
もちろん現在はそこまで盛んに行われていない風習もありますが、それも地域や人によって変わってくるでしょう。
同じトルコ人でも、一般的なトルコ式の結婚式を選ぶ人もいれば、伝統的な結婚式を選ぶ人もいます。各地方の結婚式に参加してみると、毎回全く違った経験が得られて面白いかもしれませんね。