トルコ人にとっての懐かしい味「ケスターネ(栗)」
トルコ人にとっての懐かしい味「ケスターネ(栗)」
こんにちは、響です。
実はトルコでは栗をよく食べる習慣があります。
トルコ人にとっての栗は冬の名物です。
栗はトルコ語で「ケスターネ(kestane)」と言います。
今回はトルコの栗、ケスターネについてご紹介します。
トルコのケスターネ生産事情
栗にも種類があり、それぞれに産地と特徴があります。
トルコ原産の栗はブナ科の顕花植物である『セイヨウグリ』または『ヨーロッパグリ』といいます。
セイヨウグリの実はマロンと呼ばれ、甘みのある美味しい栗として有名です。
主な生産地は黒海地方、エーゲ地方、マルマラ海地方となっており、国内総生産のうち約7割をエーゲ地方が占めています。
これらの地方のなかでも、アイドゥン県、イズミル県、カスタモヌ県、ブルサ県などは、ケスターネの生産地としてよく知られています。
特にアイドゥン県から輸出されるケスターネは非常に高品質です。
現状、トルコは栗の生産量において世界で3番目に多い国であり、年間で84,813トンもの栗を生産しています。
生産した栗のうち、約14,383トンはイタリアなどの国へ輸出しています。
ケスターネの栄養価
ケスターネはビタミンB1、B2、Cが非常に豊富です。
また、カルシウム、タンパク質、カリウム、リン、マグネシウムなど、さまざまなミネラルを含んでいます。
ヘーゼルナッツ、クルミなどの種実類には珍しくでんぷんも含んでおり、脂質が少ないのも特徴です。
栗1個あたり約35kcalなので高く思われるかもしれませんが、栄養価が高いからこそ、満腹感もあります。
脂質は少ないため、ダイエット中の方にもおすすめできるのが魅力です。
さらに、心臓の病気を予防し、子供の脳機能と目の網膜が発達するのに効果的とされているので、健康に良い食べ物と言えるでしょう。
柔らかくて甘みのあるケスターネは美味しいだけではなく、健康面から見ても優秀な食材です。
栗(ケスターネ)の活用法
トルコでは寒い時期になると、ケスターネをよく食べます。
焼き栗として食べるのが最も人気で、昔からストリートフードとして売られています。
実は焼き栗のことを「ケスターネケバブ」とも呼びます。
ケバブというと肉や野菜を焼いて作る料理のイメージなので、意外に感じますね!
「ケバブ」とはローストしたものを指し、「ケスターネケバブ」は「焼いた栗」を意味します。
栗屋台は秋や冬になると街の至る所に立っているので、試食できる機会はたくさん。
観光中、食事までまだ時間があるけど小腹が空いた時などに、軽食として食べられます。
もちろん、ケスターネは家の食事でもよく出てきます。
昔は冬に薪ストーブで焼いて食べられていました。
現在は薪ストーブの代わりに他の方法が使われています。
よく使われる3つの方法をご紹介します。
調理法
①オーブンで焼く
ケスターネをよく洗い、皮は剥かず包丁で切り込みを入れます。
ケスターネをベーキングトレーに敷いてから、200℃に予熱したオーブンで15分ほど焼きます。
②フライパンで焼く
ケスターネをよく洗い、皮は剥かず包丁で切り込みを入れます。
ケスターネをフライパンに乗せてから、250g当たり100mlの水を入れます。
ケスターネが水を吸うので、そのまま皮が剥けるまで焙煎します。
焼くときは焦げないように混ぜ続けるのがポイント!
③鍋で茹でる
ケスターネをよく洗い、皮は剥かず包丁で切り込みを入れて20分程たっぷりの水に浸します。
浸した後に水を拭き取り、鍋に入れます。
次に100mlの水を入れて、煮立ったら弱火で30分程茹でます。
適量の砂糖も入れたらおいしさが増すのでおすすめ!
皮が剥けはじめたら出来上がりです。
ケスターネを使ったトルコ料理
トルコでは焼き栗以外に、栗のピラフ、栗のスープ、肉料理、伝統お菓子など、ケスターネを色々な料理やデザートに使っています。
七面鳥の詰め物やさまざまな肉料理のつけ合わせとしても使います。
デザートとしては、ケスターネシェケリ(マロングラッセ)、栗のケーキ、栗のプリン、チョコレートでコーティングした栗などが挙げられます。
ケスターネシェケリ
ケスターネシェケリは、「栗の砂糖漬け」を意味します。
トルコ製マロングラッセとも言える食べ物で、トルコ北西部のマルマラ海地方に位置するブルサの名物です。
ブルサのウルダー(ウル山)で栽培されたケスターネから作られています。
ケスターネと砂糖シロップで出来たものですが、大粒で甘さ控えめ。
上品な味で、甘い物が苦手な方でも食べられます。
お土産としてどこでも購入できますので、例えば、勤め先の会社の方々にシェアして美味しいひと時を過ごせたらいいかもしれませんね。
ケスターネのピラフ
普通のピラフと言うとバターライスのイメージが強いです。
そんなピラフの食べ方を少し変えたいと思う方に栗のピラフはおすすめ!
ケスターネや松の実、ドライカラントを使って調理すると、食事が味わい深いものになります。
お正月の晩ごはんにふさわしい料理として食べられることも。
このピラフは、ドルマ(ブドウの葉にお米を詰めたもの)にも使えます。
こんな時もケスターネが役立つ!
栗の皮と葉も、さまざまな場面で役に立ちます!
栗の皮を煮た時の水を飲むと、リラックス効果や熱を下げる効果もあります。
また、栗の木を使った家具も作られています。
栗材は湿気に強く耐朽性が高いので、特に黒海地方で小型ボートの材料として使われることもあります。
ケスターネは食べ物としてはもちろん、その多岐にわたる用途からトルコで愛されています。
トルコ旅行中は焼き栗と栗入りの料理も食べてみてくださいね!