水タバコ
こんにちは、響です。
トルコで人気の「水タバコ」をご存じでしょうか。
オスマン帝国時代から残る喫煙方法の一種で、当時も現在も人気の高い喫煙方法としてトルコで親しまれています。
今回は水タバコの使い方や文化についてご紹介します。
水タバコとは
水タバコとは、伝統的な喫煙具を使用して喫煙する方法のことです。
バルカン半島、中東、南アジアに広まったため、中東文化の一部といわれています。
使用する喫煙具は、数百年の歴史を持つ喫煙スタイルやマナーを備えたシンプルな道具。
香りの付いたタバコの葉に炭を乗せて熱し、出てきた煙をガラス瓶の中の水を通して吸います。
トルコ語では、水タバコのことを「ナルギレ(Nargile)」と呼びます。
水タバコを構成する部品
水タバコの喫煙具は、主に4つの部品で構成されています。
各部位の名前と役割の説明は以下の通りです。
名前は、実際にトルコで呼ばれている呼び方です。
- ルレ(Lüle):ルレは、喫煙具の上部に取り付けられている穴あきトレーのことです。タバコの残り火を置くことによって、必要な熱を送り込みます。銀、真ちゅう、銅などで作られています。
- セル(Ser):セルは喫煙具の胴体の部分です。首の細い水差しのような形をしています。上部は細長く、下部に丸みをおびた球体のようなボトルがついています。ガラス、金属、セラミックでできていることが多いです。
- シシェ(Şişe):シシェは、セルの下部についているボトルのことです。煙をろ過する水が入っていて、セルを通して煙が入ってくると、ぷくぷくと泡が立ちます。
- マルプッチ(Marpuç):マルプッチは、シシェと煙の吸い口(シプシ)を繋ぐ水パイプのことです。ホースのような形をしています。その内部は羊、または、ガゼルの皮でできていることが多いです。
以上が喫煙具を構成する主な4つの部品です。
上記以外の細かい部品も紹介します。
- シプシ(Sipsi):シプシは、マルプッチの端に取り付けられている小さなノズルです。シプシに口を付けて煙を吸い込みます。値段と衛生面の関係で、通常は使い捨てできるプラスチックまたはシリコン素材のものが多いです。大理石または銀が使われることもあります。
- テプシとリュズギャルルク(Tepsi ve rüzgârlık):テプシとリュズギャルルクは、セルと同じ部位に取付られている部品です。テプシはトレーのことで、残り火から落ちる灰を集める役割があります。リュズギャルルクはウインドブレーカーのことで、残り火が出て行くことや、トレーとノズルの灰が散らばるのを防ぎます。
- トンベキ(Tömbeki):トンベキは喫煙具本体ではなく、水タバコ特有の乾燥タバコを細かく刻んだものです。トンベキを燃やして煙を出します。
水タバコの喫煙具のデザインは、イスラム教の芸術の影響を受けています。
セルの部分はモスクにある「ミナレット」に似ており、イスラム教の芸術を象徴しています。
通常、セルの部分は花や葉の模様で装飾されていて、時々金メッキが使用されます。
槍部分は一般的に手織りの絨毯柄が使われています。
水タバコの使い方
喫煙者は、マルプッチを通してトンベキの煙を吸います。
喫煙者が吸うと、空気が残り火を順番に通過し、ルレの細孔を通過します。
ルレの細孔は、熱風で温められたトンベキのタバコの煙を冷やすだけではなく、その中のタールをある程度ろ過します。
そのため、喫煙者はタールを感じることはあまりなく、タバコの煙とシロップの蒸気の香りを楽しむことができます。
水タバコの煙の特徴
水タバコと普通のタバコの違いは、煙の中のタールの比率です。
上記でも説明したとおり、水タバコの場合、トンベキに含まれているタールは、ルレの細孔を通過する時にある程度ろ過されます。
水タバコで吸う煙は、半分がタバコの煙、半分がシロップの蒸気。
そのため水タバコの煙は、普通のタバコの煙に比べてタールが少なく、体に及ぼす害も少ないです。
水タバコの歴史
水タバコはアジア周辺の文化ですが、その発祥地はインドと言われています。
トルコに水タバコが渡ってきたのは、オスマン帝国時代です。
最初の水タバコは、ココナッツの内側を取り除いて、その殻にわらを挿入した物でした。
やがてココナッツの代わりにカボチャが使われるようになり、利用者が増えるにつれて、水タバコには磁器や青銅が素材として使われるようになりました。
ガラス、クリスタル、さらにはシルバーの水タバコなども作られたそうです。
インドで発祥した水タバコは、アラブ、イランと伝わっていき、イランからオスマン帝国に渡ってきます。
イランから持ち込まれたトンベキを使う水タバコは、当時、喫茶店でおしゃべりしながら楽しむものとしてオスマン帝国に浸透しました。
しかし、一部のスルタン(イスラム教国の君主)によって禁止されることもありました。
イスタンブール県のトプハネ、イズミル県のケメルアルトゥ、アンカラ県のゲンチリッキ公園などは、昔から水タバコで有名な地域です。
水タバコは、かつて年配の人々が楽しむものでした。
現在では、水タバコのフレーバーや種類の導入に伴って、より軽い喫煙となった水タバコは若い人々に好まれ、大人気となっています。
水タバコの由来
トルコ語で水タバコを意味する「ナルギレ(Nargile)」という言葉の由来は、ペルシア語でココナッツを意味する「ナルギル」。
しかし、文化や地域によってそれぞれ違う名前が付けられているのも水タバコの面白いところです。
アラビア語では「ナルジレ(Narcile)」、ペルシア語では「カリアン(Kalyan)」と呼ばれています。
アジアと西洋の水タバコ文化の違い
水タバコがアジア(中近東など)で広まると、少し変わった形で西洋でも使用されるようになりました。
これにより、水タバコにはタイプが2つあり、文化によって違いがあります。
アジアでは、1つの水タバコに対してついているのは1つのマルプッチ。
使用するのも1人のみです。
しかし西洋では、1つの水タバコに対して複数のマルプッチがついていて、2人以上で使用することができます。
水タバコを楽しむために
水タバコを楽しむためには、知っておくべきことが4つあります。
- トングは火の取り扱いや調整に必要です。
- 最も上手く火の調整をするには、オークが最適。
- 水たばこを楽しむ場所も重要。お茶やコーヒーなどの飲み物と一緒に楽しみましょう。
- 水タバコをセッティングしてくれる人のことを「アイシェ」と言います。
まとめ
トルコでも大人気の水タバコは、カフェやレストランによっては、店内で吸うこともできます。
普通のタバコよりも軽く、フレーバーもたくさんあるので吸いやすい!
もちろん身体への害がまったくないとは言えませんが、健康に気を付けながら水タバコを楽しむのも、悪くないかもしれませんね。